格安SIMの登場により、国内における携帯電話の勢力図は大きく変化しました。
NTTドコモを含む国内3大キャリアからMNPを利用して格安SIMへの切り替えを行うユーザーは非常に多くなっています。
とはいえ、格安SIMへ切り替えることには本当にメリットしかないのでしょうか。
ここでは、NTTドコモ回線から格安SIMへ切り替える具体的な方法および覚えておくべきメリット・デメリットについてご紹介します。
ドコモ回線から格安SIMへ切り替える手順
ドコモユーザーが格安SIMへの乗り換えを行おうと思う場合には、以下に示す5つのステップを順番に進めていく必要があります。
格安SIMをチョイスする
格安SIMを提供している会社は数百社に上るとされており、それぞれが「圧倒的な安さ」や「音楽・動画配信」、「キャッシュバック」などユニークな特徴を持っています。
ですから、各ユーザーは自分の求める条件と合致しているSIMを探す必要があるのです。
また、ドコモから乗り換える場合には、SIMフリーの端末を使っているのでない限り、ドコモ回線対応のSIMを見つけることが求められます。
対応していないSIMを購入して端末へ挿入しても正常に動作することはないので注意しましょう。
格安SIM業者の公式サイトを見ればどのキャリアに対応しているSIMなのかをすぐに確認することができるはずです。
MNP予約番号を手に入れる
MNP予約番号とは、他の電話会社へ切り替えることを通知して、これまで使用してきた番号が継続して使えるように申請したことを証明するものです。
取得方法としては、「ドコモショップの窓口」「オペレーター」および「MyDocomo」の3つが挙げられます。
窓口では分かりやすい説明を受けられる反面、引き留められる可能性もあることを覚えておきましょう。
テレフォンオペレーターは午前9時から午後8時まで無料で対応してくれます。
スピーディーに予約番号を入手できるのでおすすめです。
「忙しくて電話する時間がない」という人はオフィシャルサイトからMyDocomoのアカウントを通じて申請するとよいでしょう。
格安SIMへの申し込みを行う
格安SIMの申し込みは家電量販店などにある特設コーナーもしくは格安SIMの公式サイトから行うことが可能です。
SIMのみを申し込むのか、それとも端末を合わせて購入するかを選択する必要があります。
続いて、MNP予約番号を提示および本人確認書類の提出が必要です。
実店舗の場合はその場で担当者がコピーを取ることでしょう。
公式サイトの場合は画像データでアップロードをします。
格安SIMの支払い方法はほとんどのケースがクレジットカードです。
名義や有効期限など必要な情報を入力すると申込手続きは完了となります。
MNP転入手続きを実施する
格安SIMが届いたら転入手続きを実施します。
切り替えの方法は業者によって異なるので注意が必要です。
MNPの場合、同封されている説明書に記載があります。
一般的なのは、転入手続き専用のコールセンターへ電話をする、あるいは公式サイトのMNP専用ページへデータを入力して切り替えを行うというものです。
いずれの場合も手続きが完了してから15分ないし30分前後で切り替えは完了します。
格安SIMカードの設定を行う
SIMカードのみを購入した場合、スマホのSIM交換とモバイルネットワークの設定はユーザー自身が行う必要があります。
モバイルネットワークの設定方法はSIMカードと同封されてきた説明書を参考にしましょう。
APNやプロキシ、ユーザー名やパスワードなどを記載されている通りに入力していけばすぐに格安SIMのモバイルネットワークへつながるはずです。
格安SIMの公式サイトではトラブルシューティングなどが公開されているので、思うように接続できないという人はチェックしてみましょう。
格安SIMを選ぶメリット
大手キャリアであるドコモから格安SIMへ切り替えることでユーザーが手にするメリットとしては以下の4ポイントが挙げられます。
料金が大幅に安くなる
大手キャリアでスマホ向けのプランに申し込むと、月額の利用料金は5,000円から7,000円程度が一般的です。
これに端末の購入費用が加わって、10,000円近くになっているというケースも珍しくありません。
一方、格安SIMはデータ通信のプランを含めても月額平均が2,000円から3,000円程度となっています。
最も大きいデータ通信プランにしても5,000円を超えることはほとんどありません。
もちろん、格安SIMへ切り替えを行ってもSNSのアカウントはこれまで通り利用することができ、動画も視聴可能です。
ですから、お財布に優しいSIMを探している人には大変メリットが大きいと言えます。
契約期間の縛りが基本的にない
大手キャリアの場合、賛否両論はあるものの基本的には一旦機種変更をすると2年ないし3年は継続して同じキャリアを利用するというルールになっています。
この契約期間中に解約手続きをすると高額の解約返戻金を支払わなければなりません。
一方、格安SIMの場合、この契約期間に関する条項がないというケースが多く、縛りがある場合でも半年から1年前後程度と、大手キャリアに比べて短い期間設定となっています。
そのため、一時的に海外から帰国して数か月だけスマホを使いたい人などにとっては、大手キャリアと契約するよりもメリットが多いと言えるわけです。
プランを細かく設定することが可能
大手キャリアが提供しているプランと比較して、格安SIMのプランはデータ使用量や通話時間の上限などをかなり細かく設定することができます。
通話はほとんどしない、あるいはLINEやWhatappなどのアプリしか利用しないというユーザーは、通話機能をカットしてデータ通信のみのプランを選択することも可能です。
こうした細かな設定を行うことで、月々の利用料金をリーズナブルな価格帯に抑えることができます。
もちろん、大容量のデータ通信プランも用意されているので、動画や音楽配信サイトを気兼ねなく利用したいというユーザーの希望にも十分にこたえることができるはずです。
好きな端末と組み合わせることができる
大手キャリアでは端末とSIMのセット販売が基本となっており、他の大手キャリアへMNPをする際には新しい端末を購入する必要があるというのが一般的です。
一方、格安SIMではユーザーが端末を用意してSIMだけを購入するということが可能となっています。
ですから、ユーザーは出費を抑えつつ、自分の好きな端末を利用することができるわけです。
海外で購入したSIMフリー端末なども利用可能というのは嬉しいポイントでしょう。
格安SIMを提供している業者の公式サイトには、多くの場合対応しているSIMフリー端末のリストが用意されているので、持ち込みを考えている人はチェックしてみましょう。
格安SIMへ切り替えるデメリット
格安SIMへ変更することでデメリットが発生することも覚えておく必要があります。
注意すべき主なポイントは以下の11点です。
通信速度が安定しない
格安SIMの通信回線はオリジナルのものではなく、NTTドコモ回線など大手携帯キャリアの持つ通信帯を一部レンタルしてサービスを提供しています。
ですから、大手と比較すると通信速度が安定しにくいというデメリットがあるわけです。
特に、データ通信を多くの人が利用する朝の通勤時間帯や夕方の帰宅時間、および正午前後の昼食を取る時間帯などは速度が低下しやすいとされています。
該当する時間帯は動画などを閲覧するのはやや難しくなるということを覚えておきましょう。
ただし、まったくネットにつながらない通信障害のようになってしまうということはほぼありません。
通話料金が割高になっている
大手キャリアでは各プランに無料通話分という枠が用意されており、その枠内で利用すれば月々の支払い額は変動しないというメリットがあります。
一方、格安SIMでは無料通話分というスタイルが基本的にありません。
電話として利用した分だけ支払い料金に加算されるというのが一般的です。
通話料金は大手キャリアと比較してやや割高に設定されていることが多いため、「通話をメインで使いたい」という人は注意が必要でしょう。
「10分以内の通話であれば無料」というサービスを実施している場合は、その時間内に通話を確実に終えることを意識しておくことが大切です。
実店舗が少ない
大手キャリアと比較して、格安SIMは実店舗の数が圧倒的に少ないというデメリットがあります。
SIMそのものの販売は家電量販店でも実施しているものの、担当者はあくまで販売に特化しており、通信あるいは通話トラブルが発生した時のサポートは受け付けていないことが多いのです。
そうした場面で、気軽に店舗で相談ができないというのは残念なポイントと言えるでしょう。
いずれの格安SIM業者もカスタマーサポートを用意しているものの、大手と比較するとコールスタッフが少ないため、電話をしてもなかなら繋がらなかったという不満を述べるユーザーも散見されています。
キャリアの各種サービスが使用できない
格安SIMへMNPを行うと、番号そのものは変わらないものの、キャリアメールなど複数の機能を利用することができなくなります。
キャリア決済が使用不可となるほか、これまで貯めてきたキャリアのポイントなどもすべて失効してしまうので注意が必要です。
キャリアメールをコミュニケーションツールとして活用してきたユーザーは、格安SIMへの切り替えを実施する前に、フリーメールもしくはLINEなどのSNSアカウントを用意しておき、事前に切り替えを行う旨を通知しておくのが賢明でしょう。
また、ポイントもMNPの前にすべて料金の割引などへ適用しておくことをおすすめします。
決済方法が限定されている
格安SIMの決済方法は主にクレジットカードであり、一部デビットカードへ対応している業者もあるものの、コンビニ払いや金融機関の口座引き落としなどはほとんどのケースで利用できません。
ですから、クレジットカードを持っていない人は基本的に格安SIMの申し込みができないというわけです。
大手キャリアが提供する支払い方法のバリエーションと比較すると、これはかなりのウィークポイントと言うことができるでしょう。
すぐにクレジットカードがほしいという人は家電量販店などで行われているクレジットカード加入促進キャンペーンの利用がおすすめです。
テザリングが利用できないケースあり
大手キャリアが提供しているスマホは多くの場合、端末をWi-Fiホットスポットとして利用できるテザリング機能が付帯しています。
一方、格安SIMの場合、端末そのものはテザリング機能を有していても、SIMがその機能に対応していないというケースがあるのです。
そのため、スマホを介してPCやタブレット端末をネットに繋ごうとしてもうまくいかないということが起こり得ます。
ですから、絶対にテザリング機能を使いたいというユーザーは、事前に購入を検討している格安SIMの公式サイトを確認して、テザリング機能を活用できるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
設定はすべてユーザーが行う
ほとんどの格安SIMは基本的な設定をすべてユーザーが行うようになっています。
説明書にはSIMの取り扱い方法やネットへ接続するための手順などが詳しく記載されているので、スマホの設定画面を見たことがある人であればそれほど悩むことはないでしょう。
一方、「初期設定に関してはキャリアショップの窓口ですべて行ってもらっていた」というユーザーにとって、APNの設定などは複雑に感じてしまう可能性があります。
説明書をどれほど読んでもよく分からないというケースでは、格安SIMの販売を取り扱っている家電量販店の担当者に尋ねるのが確実でしょう。
エリアによって通信状況が変化する
格安SIMは大手キャリアの通信網を間借りしているとはいえ、すべてのエリアで安定した速度を実現しているわけではありません。
都市部以外のエリアでは通信が非常に遅い、あるいは通信だけでなく通話もほとんどできないというケースも散見されています。
サービスエリアに関しては各格安SIM業者が公式サイトで公開しているとはいえ、実際に利用しているユーザーからは「対応エリアはもっと狭いように思える」という声も少なくありません。
ですから、大都市圏以外のエリアで格安SIMを利用したいと考えている人は口コミなどで利用エリアの範囲を確認しておくのが賢明でしょう。
MNPの移行に伴う空白期間がある
MNPを利用して大手キャリアから格安SIMへと切り替える場合、申込が完了してから数日はサービス移行期間として端末を利用できなくなります。
大手キャリア同士のMNPではこうした事態が生じないことを考えると、これは格安SIMへ切り替えるデメリットと言えるでしょう。
ただし、実店舗でMNPの受付をしている格安SIMに関しては、回線の即日切り替えが可能となっています。
ですから、仕事などで常に電話を使用する必要がある人は、実店舗を運営している格安SIM業者を選択するとよいでしょう。
最新の端末は購入できない
格安SIMでは基本的に最新モデルのスマホを提供していません。
ですから、格安SIMへの切り替えと合わせて端末も購入するというケースでは、新品ではあるものの型落ちのモデルになるということを理解しておきましょう。
ただし、端末の料金はかなりお得に設定されていることが多いので、「最新モデルでなくても構わない」という人にはおすすめです。
どうしても最新モデルが使いたいという人は、SIMだけを購入しておき、端末は別途購入するという方法を選択するとよいでしょう。
格安SIMは競争が激しい
格安SIMを提供する業者は増え続けており、IT系を含めて様々な大手企業も参入してきています。
これに伴い、価格およびサービス競争はさらに激しくなっているため、資金力で劣る業者は淘汰されていくリスクが常にあるわけです。
ですから、突如サービスが停止する可能性もあるという点を銘記しておきましょう。
熟考したうえで格安SIMへ切り替えるかどうか決定しよう
ドコモから格安SIMへの切り替え手続きそのものはそれほど難しいことはありません。
ただし、この変更に伴って、利用料金がお得になるなどのメリットもあれば、ネット通信が不安定になりやすいなどのデメリットもあることを覚えておくのは肝要です。
ですから、ユーザー各自がスマホの使い方をよく分析して、格安SIMへ切り替えることのメリットを十分に受けられるかどうか、よく考えてから決定することをおすすめします。
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