格安SIMのコマーシャルがテレビではしばしば宣伝され、雑誌などでも特集が組まれています。
携帯料金が高くて困っている人の中には、格安SIMへの乗り換えを検討している方もいるかもしれません。
しかし格安SIMにはメリットとデメリット、両方あります。
両者の特徴について以下にまとめましたので、自分にとってお得かどうか考えて申し込むといいでしょう。
目次
格安SIMのメリット
まずは格安SIMのメリットについて、以下にいくつか紹介します。
何といっても携帯料金を安くできるのが大きなメリットです。
しかし料金面だけでなく、ほかにもいろいろと見逃せないメリットがあります。
料金の安さ
格安SIMのメリットとして見逃せないのは何といっても、料金の安さです。
大手キャリアの料金を見てみると、使い方や頻度にもよりますが月額7,700円(税込)程度が相場です。
中には1万円前後携帯のためにお金を使っている人も珍しくないです。
一方MVNOを見てみると、老舗のIIJmioがデータ通信専用で990円(税込)、音声通話がついていても1,760円(税込)のコースが用意されています。
ほかのMVNOの料金を見ても、2,200円(税込)~2,750円(税込)が相場です。
つまり格安SIMに乗り換えることで、携帯料金を半分以下にできるかもしれません。
回線を借りているからの安さ
なぜ格安SIMはこれほどまでに携帯料金が安いのか、それは設備投資の規模の違いです。
大手キャリアは日本全国に回線を張り巡らせています。
このため、日本中どこからでもスマホが使えます。
この設備にかかる費用が莫大です。
一方格安SIMは大手キャリアの回線をレンタルしてサービスを提供しています。
設備投資をするのと比較して、レンタル料は圧倒的に安いです。
ですからより安い料金で通信サービスを提供できるわけです。
料金プランがシンプル
大手キャリアの場合、いろいろなサービスやコースが設定されています。
このため使っている当人も、自分の入っているコースの内容について把握できていない場合も少なくないです。
それと比較して格安SIMの場合、料金プランが非常にシンプルです。
会社ごとに若干の違いがあるものの、基本はデータ通信専用か音声通話付きかとデータ通信のGB数を選択するだけです。
スマホで電話をする場合には音声電話付き、別にネットができればいいというのであれば、データ通信専用を選択すればいいです。
2年縛りがない
大手キャリアの場合、なかなかほかのところに乗り換えられないのが問題でした。
2年縛りといって、契約は2年間です。
そして満期になると何もしなければ自動的に更新されます。
25ヶ月目と26ヶ月目の2か月間以外に解約をする場合、解約手数料がかかります。
以前は1万円近くの手数料がかかったので、文字通り大手キャリアに縛られていました。
格安SIMの場合、データ通信はこのような利用期間が決められていません。
つまりいつ解約しても問題ないです。
音声プランは一部MVNOで最低利用期間が設定されています。
しかし数か月のものが多く、長くても1年程度です。
大手キャリアと比較するとだいぶゆるいです。
選択肢の多さ
大手キャリアの場合、ドコモとau、ソフトバンクと3つしか選択肢がないです。
一方MVNOの場合、主要なところだけでも十数社あります。
その分より多くの選択肢があり、より自分に合ったプランが見つかりやすいのも格安SIMのメリットといえます。
MVNOも他社と差別化を図るため、いろいろなサービスを用意しています。
複数枚のSIMを格安価格で利用できる、ほかのユーザーとデータ容量をシェアできるようなコースを用意しているなどです。
今まで以上に使いやすい格安SIMが見つかるかもしれません。
格安SIMのデメリット
格安SIMはメリットのある半面、デメリットも見られます。
利用できるサービスに制約がある、使い方によってはかえって携帯料金が高くなってしまうなどです。
以下でそれぞれのポイントについて詳しく見ていくので、気になる人は参考にしてみてください。
通信速度が遅くなる可能性
MVNOは大手キャリアの回線を間借りして、通信サービスを提供しています。
このため、多くの人が一斉にデータ通信を行うと渋滞して通信速度の低下する恐れがあります。
特に正午前後は混み合う傾向があるので、このタイミングでデータ通信することの多い人は注意が必要です。
特に動画視聴など大きなデータのやり取りをする人は注意しましょう。
速度低下すると頻繁に止まってしまうなど、ストレスを感じることになりかねないからです。
テザリングができない機種も
テザリングとは皆さんお持ちのスマホをモデムのようにデータ通信する方法です。
外出時パソコンやゲーム機をスマホにつなげて、ネット接続ができます。
実は格安SIMの中には、このテザリングのできないケースもあります。
これはケースバイケースです。
ドコモ系の場合、Android端末を使ってると一部端末でテザリングができません。
auの場合、Androidは問題ないのですがiPhoneだとテザリングできないといわれています。
LINEのID検索が不可
LINEにはID検索がありますが、格安SIMの場合利用できなくなります。
ID検索を利用するためには、年齢確認で18歳以上であることを証明しなければなりません。
ところが年齢確認は大手キャリア独自のサービスなため、格安SIMは対象外です。
ただし格安SIMの中でもLINEモバイルであれば、キャリアの年齢確認なしでもID検索が利用できます。
LINEモバイルの契約手続きの過程の中で、年齢確認が行われるからです。
公衆無線LANの利用不可
大手キャリアの場合、公衆無線LANサービスを提供しています。
外出時などは重宝します。
一方格安SIMの場合、この公衆無線LANサービスを提供していないところが多いです。
ただし一部提供しているところもあります。
公衆無線LANを使用すれば、自分のデータ容量を消費せずにデータ通信できます。
外出先で頻繁にネットに接続する場合には、公衆無線LANサービスの有無で格安SIMの絞り込みを行うといいです。
もし公衆無線LANのない格安SIMを利用するなら、外出先ではフリーWi-Fiのところに入ってデータ通信するのがおすすめです。
メールアドレスが利用不可
大手キャリアに入ると、@docomo.ne.jpや@ezweb.ne.jp、@softbank.ne.jpのつくメールアドレスが手に入ります。
しかし格安SIMに乗り換えると、これらのキャリアメールのアドレスが利用できなくなります。
もしキャリアメールを使って家族や友人など親しい人とやり取りしている場合、新しいアドレスを全員に通知しなければならないのはデメリットです。
もし格安SIMでメールをする場合には、GmailやYahoo!メールのようなフリーメールを利用せざるを得ません。
もしくはLINEでやり取りする方法も選択肢になります。
キャリアサービスは利用不可
大手キャリアではいろいろなサービスを展開しています。
例えばドコモであればdカード、auならau Walletといった感じです。
そのほかにもキャリア決済や年齢認証サービス、auスマートパスなどもあります。
格安SIMに乗り換えると、このようなキャリアサービスは基本利用できません。
ただしドコモの場合、回線契約がなくてもdアカウントを取得しておけば利用は可能です。
dマガジンやdTVなどのサービスは引き続き利用できます。
店頭サービスが手薄
大手キャリアの場合、日本各地に店舗を展開しています。
端末を変えたい、故障などで修理をお願いしたければこちらのショップに持ち込んだら対応してもらえます。
しかし格安SIMの場合、このような携帯ショップは展開していません。
基本すべての問い合わせや手続きは、Webを通じて行います。
イオンモバイルや楽天モバイルなどは携帯ショップも展開しています。
しかしそれでも、大手キャリアと比較するとその数は少ないです。
何か困ったことが起きたときにネットのメールやチャットだけでは不安、対面でしっかり説明を受けたければ、大手キャリアの方がおすすめです。
初期設定はセルフ
店頭サービスが手薄に関係しますが、初期設定も自分で行わないといけません。
スマホはただ単にSIMカードを端末に挿入すればすぐに使えるものではないです。
APN設定といって、アクセスポイントをインプットしないとネット通信も音声通話もできないようになっています。
大手キャリアの場合、スマホを購入する際に店員さんがAPN設定を行っています。
ですからお客さんは何もしなくても、スマホが店を出ればすぐに使用できるわけです。
APN設定ですが、決して難しくはないです。
MVNOの公式サイトで手順を載せているので、その通りに進めれば、誰でもできるでしょう。
アフターサービスが手薄
スマホを利用している中で、何か予期しないトラブルが起きる場合もあるでしょう。
大手キャリアでは困ったときに利用できるサポートサービスが充実しています。
しかし大手キャリアと比較すると、格安SIMのサポートは弱いといわれています。
大手キャリアの場合、電話だけでなく店頭でもサポート対応しています。
しかし格安SIMの場合、チャット形式で対応しているところが多いです。
このため、結局直接的な作業は自分で行わないといけません。
ただし格安SIMの中には深夜でも対応してもらえる、質問に対する返答がスピーディなところも出てきています。
心配であれば、サポートの充実度で選ぶのも一考です。
支払方法はクレジットカード決済のみ
格安SIMの支払方法は、クレジットカード決済のみというところが多いです。
つまりクレジットカードを持っていない人は、格安SIMが利用できないわけです。
もしカードを持っていなくて格安SIMを使ってみたいと思うのであれば、まずカードを持つことが優先です。
ただし一部MVNOでは、銀行口座振替やデビットカードによる支払いに対応しているところも出てきています。
動作確認の必要性
格安SIMカードを端末に入れて使用するのですが、SIMカードと端末の相性の良し悪しが出てきます。
場合によってはお手持ちの端末では格安SIMが使用できない場合もあります。
特に注意が必要なのは、SIMカードのサイズです。
標準とmicro、nanoという3種類があります。
カードのサイズが合ってないと、そもそもSIMカードを端末に入れられません。
端末のメーカーや機種モデルによって、利用できるかどうかは変わってきます。
MVNOの公式サイトを見ると、動作確認端末の一覧を載せています。
自分の端末は対応しているかどうか確認しておくといいです。
携帯料金が高くなってしまうことも
格安SIMは携帯料金の安いのが大きなメリットです。
ところが使い方によっては、料金が高くなってしまうこともあり得ます。
特に注意したいのは、音声通話もする場合です。
大手キャリアの場合、国内通話はかけ放題もしくは定額です。
一方格安SIMでは、定額やかけ放題プランが用意されていないです。
この場合、30秒22円(税込)の通話料が発生します。
頻繁に通話する、長電話する場合には携帯料金が返って割高になってしまう恐れも出てきます。
格安SIMの中には1回数分間かけ放題や一定時間までは定額というプランを用意しているところもあります。
音声通話をよく利用する人は、このようなコースを選択するといいでしょう。
スマホの利用できない期間
大手キャリアから格安SIMにMNPで乗り換える場合、キャリアからMNPの予約番号を発行してもらいます。
その上で格安SIMへの乗り換え手続きをします。
この段階でキャリアのSIMカードは利用できません。
格安SIMカードが手元に届くまで、場合によっては数日間スマホが一切利用できなくなるかもしれません。
しかしMVNOの中には、この不通期間を無くすサービスを展開しているところも出てきています。
1日たりともスマホの利用できない期間ができると困るのなら、不通期間のないところに申し込むといいでしょう。
購入できる端末は限られる
格安SIM業者でも、端末とSIMカードをセットで販売しているところもあります。
この端末ですが、大手キャリアと比較すると購入できる選択肢は限られるのもデメリットといえます。
ただしもし端末を持っていれば、それを引き続き格安SIMに合わせて使うこともできます。
ただしもしSIMロックのかかっている端末であれば、ロックを解除しなければ利用できないので注意しましょう。
災害時の対策が手薄
大手キャリアのスマホだと、例えば緊急地震速報が流れた、台風などで避難指示が出た場合には通知してくれます。
しかしMVNOによってはこのような緊急地震速報や避難情報の通知が行われないところもありますから注意しなければなりません。
また大規模災害が起きた場合、ネットやメールがつながりにくくなることもしばしばです。
格安SIMを利用する場合、もし災害が起きた際に家族や友人とどのように連絡を取り合うか、前もって相談しておいた方がいいでしょう。
アンテナピクト問題のリスク
大手キャリアではまず起こらないアンテナピクト問題が稀ではありますが、格安SIMの場合起こりうる点もあらかじめ理解しておきましょう。
これは電波を受信しているはずなのに、画面には圏外と出てしまう問題です。
その結果、後で詳しく見ますがセルスタンバイ問題という別のトラブルを引き起こします。
セルスタンバイ問題のリスク
アンテナピクト問題と密接にかかわるのが、セルスタンバイ問題です。
格安SIMが電話を受信していないと誤解してしまうアンテナピクト問題によって、電波を探す状況に陥る現象がセルスタンバイ問題です。
電波を探す作業では、バッテリーを消耗します。
このため、スマホを一切使っていないのに気が付いたときには電池の残量が大きく減っていることもあります。
長時間外出して充電できない状態になることが多ければ、このようなリスクのあることは理解しておいた方がいいです。
もしセルスタンバイ問題を回避したければ、SMS機能付きのデータ専用SIMコースで契約します。
セルスタンバイ問題はSMS機能のついていないSIMカードで起こることがほとんどだからです。
デメリットのあることも考えて乗り換えを検討すべし
このように格安SIMに乗り換えると携帯料金が安くなるかもしれません。
しかし一方でサービスが手薄などのデメリットもありますから、メリットと比較して検討する必要があります。
スマホの機能はそれほどたくさん使っていない、とにかく形態のコストを今よりも安くしたければ、格安SIMに乗り換えるのも一考といえます。
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