さまざまな印刷技術の登場によって、小ロットでもオリジナルグッズ製作ができるようになりました。そのため、オリジナルグッズ製作を楽しんでいる方は増えていますが、同時に多くの要望も出てきています。
「企業のノベルティグッズで活用したいから、製作コストを削減したい…」
「記念品を製作したいから、発色やデザインの再現性にこだわりたい…」
「受注生産型で商品販売を始めたいから、短納期を実現したい…」
このような要望は、要見合った印刷技術を採用することで解消できます。そのため、オリジナルグッズ製作を楽しむためにも、印刷技術に関する知識を蓄えましょう。再現性の高い「インクジェット印刷」について分かりやすく解説します。
インクジェット印刷とは
インクジェット印刷(DTG printing)は、コンピュータ内の画像ファイルでインクを微適化し、直接製品に印刷する技術です。約1億種類の色を表現できるCMYKで表現されるため、色の再現性が高く美しい仕上がりになります。また、生地・皮・樹脂・金属まで幅広いアイテムに対応。製版の必要がないため、小ロットから対応できることも魅力となっています。
【インクジェット印刷の基本的な流れ】
1. 印刷するデザインデータをパソコンで確認する
2. 1度に複数の印刷を行うため、パソコン上でデータの面付け作業を行う
3. パソコンでのデザイン面付けと同じ位置になるように治具に固定してインクジェット機に商品を配置する
4. パソコンからインクジェット機にデータを読み込ませて、商品にプリントをする
5. 短時間で美しいフルカラープリントが仕上がる
6. データと同じようにプリントされたか、仕上がりを完成する
インクジェット印刷のメリット
オリジナルグッズ製作では、さまざまな印刷技術が選べますが、各技術に特徴があるので理解を深めておきましょう。ここでは、インクジェット印刷のメリットについて解説します。
色の再現性が高い
CYMKの全色(約1億種類)を使用できて解像度も高いため、グラデーションや写真も印刷可能です。精細なプリントができるため、色の再現性が高いです。
金や銀、蛍光色などは使用できませんが、グラデーションを駆使して光沢があるように見せられます。そのため、オリジナルキャラクターをイメージ通りに再現化したい場合などにインクジェット印刷が採用されることが多いです。
生地の風合いを大切にできる
染料インクは布に染み込む性質を持ち、繊維の奥まで色が染みこみ、生地の風合いを保ったままプリントできます。そのため、生地の本来の質感を維持でき、色落ちなどの心配もありません。洗濯をしても色落ちがしにくく熱にも強いです。また、生地が濃色の場合は元の色が影響し沈み込んだような色味になる為、白インクでプリントした後、フルカラーで印刷する手法(白引き)を行う事で綺麗なプリントになるように工夫されています。
小ロットに対応できる
インクジェット印刷は版(判子のようなもの)を作成する必要がありません。他の印刷方法を選択すると、初期費用に版代がかかります。この版代は3万円程度かかるため、版の作成が必要な印刷技術は、小ロットに不向きです。
しかし、インクジェット印刷は版を必要としないため、版代がかかりません。そのため、小ロットでも低価格で印刷できます。
環境に優しい
インクジェット印刷は小ロットに対応できます。商品を受注生産方式で1枚から注文、製造することができます。そのため、在庫の過剰生産と生地の廃棄まで極力まで押さえることが可能です。毎年、アパレル業界全体では、9,200tの生地が廃棄処分となっているため、受注生産方式で商品を作るビジネスモデルは環境にも優しいだけでなく、個人ブランドや小規模なアパレルでは積極的にインクジェットプリントによる小ロット生産を取り入れる事で効率化を進める動きもあります。
インクジェット印刷のデメリット
インクジェット印刷にはメリットだけではなく、デメリットもあるため注意してください。ここでは、インクジェット印刷のデメリットについて解説します。
インクの色を作れない
インクジェット印刷と比較される印刷技術に「シルクスクリーン印刷」があります。シルクスクリーン印刷は、バインダー(糊)と色味の水性顔料(色素)を混ぜてインクを作る印刷技術です。そのため、インクを混ぜて、自分の好きな色味のインクが作れます。
しかし、インクジェット印刷は決められたインクを混合させることで発色させます。ピンポイントでインクの色を作れないということが、インクジェット印刷のデメリットです。
金色・銀色・蛍光色の表現はできない
金色・銀色・蛍光色などの特殊色は、インクジェット印刷では表現できません。文字や絵柄を金や銀、ホログラム、メタリックなどで印刷するとプレミアム感がグッとアップします。企業ノベルティグッズや記念品を製作する場合に、プレミアム感を演出したがる人はいますが、インクジェット印刷では表現できません。
スマホラボでは無料見積もりからシルクプリントの見積もりを取得する事もできます。インクジェットかシルクスクリーンか悩んでいる場合も相談してみると良いでしょう。
生地の色の影響を受ける
インクジェット印刷は、生地の上にインクを吹き付ける印刷技術です。そのため、生地の色の影響を受けます。生地の色が濃い場合、どうしても生地色の影響を受けてしまいます。そのため、色の再現性にこだわりたい場合は白色の生地を選んでください。
白引きインクジェット印刷を選べば、濃色の生地にも印刷できますが、インクをなじませるための下処理剤を塗布する為、前処理の後が残ってしまいます。下処理剤は人体に無害で洗濯する事で綺麗になりますので利用日前に届くように注文しましょう。
インクジェット印刷とシルクスクリーン印刷の違い
オリジナルTシャツ製作の利用される印刷技術として「インクジェット印刷」と「シルクスクリーン印刷」があります。それぞれのメリット・デメリットを抑えておくと、要望に沿った形でオリジナルグッズ製作ができるため、理解してきましょう。
インクジェット印刷 | シルクスクリーン印刷 | |
特徴 | コンピュータ内の画像ファイルでインクを微適化し、直接製品に印刷する技術 | 版にインクを落として、スキージーで伸ばして色を写していく印刷技術。 |
メリット | ・色の再現性が高い ・生地の風合いを大切にできる ・小ロットに対応できる ・環境に優しい | ・大量印刷のコストを抑えられる ・デザインが剥がれにくい ・インクの色を混ぜて作れる |
デメリット | ・インクの色を作れない ・金色・銀色・蛍光色の表現はできない ・生地の色の影響を受ける | ・小ロット対応ができない ・色の再現性が低い ・細かいデザインには不向き |
インクジェット印刷がおすすめの商品
インクジェット印刷の特徴(メリット・デメリット)について理解して頂けたと思いますが、実際に、どのような商品を製作する場合に選ぶべき印刷技術なのでしょうか? インクジェット印刷は、発色が良くて版が不要なため小ロットに対応できる印刷技術です。このようなインクジェット印刷は、主に以下のような商品で利用されます。
スマホアクセサリー
スマホケースやスマホアクセサリーでも、インクジェット印刷が使用できます。色の発色が良くて、グラデーションや写真も再現できるため、企業のノベルティグッズとしてスマホアクセサリーを作る方が増えています。
また、近頃はスマホアクセサリーの中でも充電器が人気です。実用的な充電器が紛失しないように、自分の名前をプリントする人も増えています。
Tシャツ
インクジェット印刷は、生地に直接インクを吹き付けて染めるため、プリント部分がゴワゴワしません。生地の肌触りが感じられる柔らかいタッチの仕上がりになります。そのため、オリジナルTシャツ製作におすすめです。
版が不要で小ロットに対応できる印刷技術のため「お揃いのデザインで色違い」「名前の部分だけを変える」などの発注もできます。そのため、文化祭や体育祭のクラスTシャツ作りなどでも利用されます。
バッグ
インクジェット印刷は、グラデーションの表現が可能なため、デザインに幅が広がります。写真やグラデーション入りのイラストもフルカラーで印刷が可能です。そのため、オリジナルバッグ製作との相性が良いです。
近頃は、スーパーなどでエコバッグを持参しなければいけなくなり、世界でたった1つのエコバッグを作る人も増えてきました。また、受注生産方式でオリジナルバッグ製作を販売する人も増えてきています。
タオル
インクジェット印刷は、生地にインクを吹き付けるため、素材(生地)をそのまま活かすことができます。プリント部分がゴワゴワとしないため、肌触りが良いです。そのため、オリジナルタオルを製作する際にも、インクジェット印刷が選ばれます。
タオルは、フェイスタオルやミニハンカチ、バスタオルなどサイズが選べるため、利用用途に応じたものが作れます。近頃は、好きなアイドルを応援するためのヲタグッズとして、オリジナルタオル作りを楽しむ方が増えてきました。
ノート
企業のノベルティグッズとしてオリジナルノートが人気です。オリジナルノートは、気軽に使用できるため世代を問わずに喜ばれるグッズです。
オリジナルキャラクターを再現したいとお考えの場合、インクジェット印刷がおすすめです。オリジナルキャラクターのイメージを具体的に再現できます。また、小ロットに対応できるため、サンプル品も気軽に作ることができます。
インクジェット印刷のおすすめの色&デザイン
インクジェットは、色の再現性が高い印刷技術です。そのため、写真やグラフィックを使用したデザインにおすすめです。また、CYMKで表現できるカラーは全て再現できるため、グラデーションなどもキレイに表現できます。
半透明なデザインを不得意とする印刷技術ですが、画像編集ソフトを使用して、ハーフトーンという半透明要素に似せたグラフィックを作成すれば問題ありません。この点だけ、注意をすれば、細部までこだわったデザインのプリントが可能です。
インクジェット印刷のグッズ製作時の注意点
インクジェット印刷の特徴(メリット・デメリット)について理解して頂けたと思います。実際に、インクジェットを活用してオリジナルグッズを製作したいと思っている方もいるでしょう。し
かし、オリジナルグッズ製作時の注意点もあるので、気をつけてください。ここでは、インクジェット印刷でオリジナルグッズ製作をする際の注意点をご紹介します。
白引きは許容範囲
画像の発色を再現するため、最初に白色のインクを吹き付けた後に、画像をプリントしていきます。このようにインクを二重に重ねる工程上、プリントの縁に白引きが出ることがあります。しかし、この白引きは印刷ミスではありません。0.5mm以内の白引きのはみ出しに関しては許容範囲となっています。
元データの確認をする
オリジナルグッズ製作を依頼する前に、元データの確認を必ずしてください。データ上に消し忘れたゴミが残っていると、ゴミも印刷されてしまいます。
オリジナルグッズ製作会社は元データの加工や修正には対応しておらず、提出したデータをそのまま印刷します。そのため、オリジナルグッズ製作を依頼する前には、元データの確認を忘れずにしてください。
また、スマホラボでは無料で画像をきれいに透過するサービスを提供しているので利用すると安心です。
デザインがズレることがある
印刷手法により、5mm程度はズレが生じてしまうこともあります。そのため、5mm程度のズレが生じても大丈夫なデザインを手掛けましょう。例えば、手帳型の留め具にデザインするなどは非推奨しています。
留め具部分のデザインはズレやすく、完成品とイメージが大きく変わる恐れがあります。そのため、デザインは多少ずれることを理解した上で、オリジナルグッズ製作を楽しんでみてください。
補足:無償再生産はお断りしています
ブラウザ上で表現される色と、実際の印刷の色が異なる場合があります。このようなイメージが異なるという理由での無償再生産は、オリジナルグッズ製作会社ではお断りをしています。そのため、大量生産を希望される方は、1つサンプルを作って、色味などが大丈夫であるかを確認してみてください。
まとめ
インクジェット印刷は、CMYKの色(約1億種類)を使用して色味を再現する印刷技術です。そのため、グラデーションや写真もイメージ通りに再現できます。また、印版を必要としていないため、小ロットにも対応できます。このような理由により、オリジナルグッズ製作でも、インクジェット印刷が利用されるのです。
他にも、さまざまな印刷技術があるため、オリジナルグッズ製作を楽しんでいる方は、印刷技術の知識を身に付けておきましょう。それぞれの印刷技術の特徴を理解した上で、オリジナルグッズ製作を楽しんでみてくださいね♡
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